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アキレス腱は筋肉と比較すると非常に弾性があり、バネのような反発力を持っています。

アキレス腱のポテンシャル(長さや硬さ)によって地面からの反発力が変わるため、アスリートにとってアキレス腱の強さはパフォーマンスに直結すると言っても過言ではありません。

そのため、アキレス腱を断裂することはスポーツ選手にとって選手生命を脅かすほどの大ケガとも言えます。

これまでも、野球の前田選手、ラグビーの大畑選手、テニスの伊達選手、体操の鶴見選手など多くのアスリートがアキレス腱の断裂を経験し、苦しんできました。

アスリートだけでなく、一般の方でも意外とアキレス腱の断裂は身近なケガの一つと言えるので、正しいケアとリハビリの方法を理解しておきましょう。

アキレス腱の構造

アキレス腱はふくらはぎの先から踵まで伸びている細長い腱のことで、筋肉が生み出した力を伝えるバネの役割を担っています。

下の図はカンガルーのスピードとエネルギー消費量の関係を表した研究結果です。

引用:跳のバイオメカニクス

引用:跳のバイオメカニクス

6km/hまではスピードアップとともにエネルギー消費量が増えていますが、、6km/hを超えるとエネルギー消費量が一定になっているのが分かります。

歩行からホッピングに変わることでエネルギー消費を効率化しているんです。

つねにジャンプをして移動しているので疲れそうですが、実は長いアキレス腱のおかげで非常にエネルギー効率がよく跳んでいる方が疲れないということが分かっています。

構造的にはとても強く耐久力がある部分ではありますが、それでもスタートの瞬間・ジャンプの着地など大きな負荷がかかるため、疲労や寒さと重なると断裂をすることがあります。

アキレス腱断裂の原因

アキレス腱を断裂してしまう原因はいくつか考えられますが、
①ウォーミングアップ不足
②加齢によるアキレス腱の弾性の低下
③アキレス腱のねじれによる変性

といったところが主な原因と言われていますが、特に加齢によるアキレス腱の弾性の低下は見逃せません。

腱の弾性は筋の柔軟性とはまた別物で、伸ばされることに耐えられる強さが必要です。弾性が低下してしまうと伸びに耐えられずに断裂してしやすくなってしまいます。劣化したゴムを引っ張ると切れてしまう場面を想像してみて下さい。

アキレス腱断裂がよく起きる年代が30代後半~40代前半というデータが示すとおり、学生の頃の貯金(筋)で運動をしていた20代の頃と違い、筋肉が衰えて腱の弾性が低下する時期でもあるのです。


アキレス腱を断裂する場面で多いのは、

・ダッシュの瞬間
・横への切り返しの瞬間
・後ろから前に動こうとする瞬間

です。サッカーやアメフト、ラグビー、テニス、バドミントンなどの球技や陸上競技など重心移動の瞬間に起きやすいのが特徴です。

怪我をした瞬間は、「後ろから誰かに蹴られたと思った」とか「何かで叩かれた感じ」というように強い衝撃を受けることが多く、破裂音を耳にすることがほとんどで、周囲にいる人にもわかるほど大きな音が出ることもあります。

アキレス腱断裂からの復帰には

アキレス腱を断裂すると、断裂した腱を直接縫合する手術療法と、ギプスや装具で固定して自然治癒力で回復させる保存療法のどちらかを選ぶことになります。

どちらを選択するかは、手術と保存それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、現在の生活状況(どれくらいの頻度で運動をしていきたいか)を考えながらお医者さんとよく相談して決めるようにしてください。


【手術療法のメリット】
・固定期間が短いので復帰までの時間が早い
・再断裂のリスクが低い

【手術療法のデメリット】
・費用がかかる
・入院が必要

【保存療法のメリット】
・費用がかからない
・手術をしないので身体にかかる負担は少ない

【保存療法のデメリット】
・固定期間が長い
・正しいリハビリをしないと再断裂のリスクが高まる


最近の研究では手術をしなくても正しくリハビリを進めていくことができれば、最断裂の可能性は低く手術とあまり変わらないということもわかっています。

筋力の低下を防ぎたいスポーツ選手は早期に復帰ができる手術を薦められますが、自宅での管理や自身でリハビリを徹底できる場合には保存でも問題なさそうです。

どちらの治療をとるにしても以前と同じような運動ができるようになるまで、最低6ヶ月はかかると言われています。

めんてなでできること

私もこれまでに何人もアキレス腱断裂を見てきましたが、ギプス固定をすると足首周りの可動域が低下しやすくなります。

固定する=関節を固める

というわけですからリハビリ段階でしっかりと可動域を確保していかないと、後々足首が曲がらなくなり他のケガを引き起こす可能性も否定できません。

病院でのリハビリ期間内に全てが順調にいけばいいのですが、意外とそこまで見てもらえないこともあるため、めんてなでも足首の可動域訓練を第一に考えています。

ちなみに可動域の回復で重要になってくるのが、アキレス腱の滑走性。

腱は皮膚の奥で伸びたり縮んだりして力の伝達をするのですが、アキレス腱の肥厚(太くなってしまうこと)や癒着によって、アキレス腱の滑り(動き)が悪くなってしまいます。

筋膜リリースという手技を使うことでこの滑走性を取り戻すことが大切なポイントです。


また、アキレス腱の断裂で忘れてはいけないのが逆足にかかっている負担。実際にラグビーの大畑選手や体操の鶴見選手は片方のアキレス腱を切って手術をした一年後に逆足のアキレス腱の断裂を経験しています。

固定期間が長くなったり、アキレス腱の動きが悪くなると自然と逆の足にかかる負担が増えてしまいます。

そのためアキレス腱だけでなく身体全体のバランスを整えることも重要です。

アキレス腱は再断裂の可能性や逆足の断裂の可能性が非常に高い怪我でもあるので、治ったあとも継続的にコンディションを整えていくことをお勧めします。

【追記】2015年10月15日に私自身がアメフトの指導中にアキレス腱を断裂してしまいました。すぐに手術を受けてリハビリ記などに残していますので、よろしければ参考にしてみてください。

【アキレス腱断裂リハビリ記】其ノ壱.アキレス腱断裂の原因を探る
【アキレス腱断裂リハビリ記】其ノ弐.アキレス腱断裂の評価と応急処置
【アキレス腱断裂リハビリ記】其ノ参.手術?それとも保存?
アキレス腱の回復を早めるために効果的な食事
ギプス固定中にあると便利なグッズたち
アキレス腱断裂の手術後、ギプス固定中のリハビリ
アキレス腱断裂の手術後、歩行用装具に切り替わったときに気をつける7つのこと
アキレス腱断裂の手術後、足のむくみを解消する
アキレス腱断裂の手術から4週が経過
アキレス腱断裂の手術から5週が経過、腓腹筋に力が入るように
アキレス腱断裂の手術から6週が経過、足の可動域を広げるために
アキレス腱断裂の手術から8週が経過
アキレス腱断裂の手術から10週が経過、ジョギングと車の運転を再開
気づけばアキレス腱断裂から一年が経過しました

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