ナイキの厚底シューズは初心者ランナーに勧めません【怪我のリスク】
こんにちは、スポーツ整体院めんてなの倉持です。
今年は健康のためにも走り始めよう!と、思っている方から相談を受けました。以前は走っていたのですが、最近はめっきり走っていないとのことです。
ナイキの厚底シューズが流行っているみたいなので、まずは見た目からと思って買おうと思っているのですがいかがですか?
最近のマラソンシーンでは、ナイキの厚底シューズは話題になっていますが、初心者ランナーの方にはあまりオススメできません。
この時の私の返答がこちらです。
この靴はトレーニングをちゃんと積んだ人のために作られているので、今から走り始める方が履くと怪我をする可能性があります。それぞれのレベルによって合う合わないがありますので、もう少しクッション性があって足に優しい靴を選んだ方がいいですよ。
確かにナイキの厚底シューズはとてもいいシューズで記録を狙えるのですが、私の周りで履いている方の中にも足を痛めてしまう方がいました。
流行に惑わされず、自分の足に合ったシューズを選んだ方が楽しく走れると思います。
今回の記事は、ナイキの厚底シューズが初心者ランナーにオススメできない理由と、初心者ランナーがシューズを選ぶ際のポイントについて解説していきます。
※ナイキの厚底シューズがダメと言っているわけではありません。タイムを狙って日々トレーニングを積んでいる方にとってはものすごく成果の出るシューズなのは間違いないです。ただ、いきなり履くにはハードルが高いということをお伝えしています。
ナイキの厚底シューズの特徴
近年のマラソンシーンで、上位を走っている選手の足元を見ているとナイキのシューズを履いている方が多いです。
日本人ランナーで言えば、大迫選手や設楽選手、服部選手が履いていますし、2019年の箱根駅伝では出場選手230人のうち95人がナイキのシューズを履いていた(ナイキ社発表)ということで話題にもなりました。
これまでは薄くて軽いシューズがレース用シューズの常識と言われていましたが、今では厚底が新常識になってきました。
当然、厚底だからクッションがきいて足にかかる負担は少ないんじゃないか、と思われるかもしれません。確かにクッション性はありますが、それ以上に強い反発力による負担が大きいようです。
高い反発力
ナイキの厚底シューズの特徴の一つに、ソール部分に装備されたカーボンファイバー製のプレートが挙げられます。
カーボンプレートがあるおかげで高い反発力を得ることができ、エネルギー効率が高くなります。
反発力が強いということは、その分、その力を受け止めるだけの脚力が必要であり、脚ができていない初心者ランナーには負担となってしまいます。
つま先がせり上がっている形状
シューズを横から見て見るとわかると思いますが、丸みを帯びていますよね。
「下り坂を走っているようだ」「前に押し出される感じ」という感想が聞かれるのは、まさにこの形状からきているのかもしれません。
ナイキ社のデータでは、『ズームストリーク6』よりもランニングエコノミーが4%ほど高いという研究結果が出たほどです。
ランニングエコノミー(走の経済性)は、ある走速度をどれだけ少ない酸素摂取量(=エネルギー消費量)で走れるかを評価する指標のことです。 同じペースで走っていているランナーでも、酸素摂取量(=エネルギー消費量)は走パフォーマンスによって異なります。(引用:ファイテンHPより)
逆に考えると、呼吸機能が整っていない初心者ランナーにとっては、無理やり走らされているような感覚で呼吸が苦しくなってしまうかもしれません。
体にかかる負担
カーボンプレートと丸みを帯びた形状という二つの特徴があることで、ランニングパフォーマンスを向上させてくれるわけですが、一方でどのような負担がかかるのかを考えておく必要があります。
筋肉にかかる負担
高い反発力がかかるので、その衝撃はふくらはぎに伝わります。その場で何度も連続ジャンプをすると、ふくらはぎがパンパンになってしまいますよね。
反発力が高いということは、その分だけ強い衝撃がふくらはぎに加わるということなので翌日のふくらはぎの筋肉痛は半端じゃありません。走っている最中に足をつってしまうかもしれません。
筋肉痛だけならいいのですが、衝撃に耐えられずに肉離れに近い状態になってしまう可能性も考えられます。
これはハムストリングスにも同じことが言えます。推進力が大きいということはハムストリングスで地面を押し出す感覚が強くなるということ。
『自然に蹴れてしまう=無意識でハムストリングスを使ってしまう』
日常生活でハムストリングスを使う機会は少ないので、かなりの負荷がかかってハムストリングスをつったり痛めてしまうリスクが高いです。
関節にかかる負担
反発力を受け止めるだけの脚力ができていないと、その衝撃は関節に伝わってしまいます。
特に膝まわりにかかる負担は大きいです。ランナーにとって膝を痛めることは厄介で、もう走りたくないと思ってしまうほどですね。
ちなみに反発力が強いと止まるのも負担がかかるということを忘れないようにしましょう。
心肺機能
初心者ランナーは呼吸機能が鍛えられていないので、自分のペースが乱されると一気にきつくなります。本当は1km7分くらいのペースが適切なのに、いきなり1km6分30秒で走らされては呼吸がついていきませんよね。
言うなれば、ヒモを腰に付けられて無理やり引っ張られているような感覚です。
自分の適切なペースを覚えるまでは、自分の足で走っている感覚を身に着ける方が大切です。
こちらの記事ではランニング障害を起こさないための筋トレやストレッチを紹介していますので、よろしければ参考にしてください。
初心者ランナーの靴選びのポイント
初心者ランナーが自分に合った靴を選ぶために、いくつかポイントを抑えておきましょう。
- 自分の足の形状に合っているか
- クッション性があるか
- 柔らかい
走り始めは脚ができていないので、自分の足にフィットして負担が少ないシューズを選ぶようにしましょう。
自分の足の形状に合っているか
平均的な日本人の足は幅広なので、その形状に合った靴を選ぶようにします。
例えば、日本のメーカーであるアシックスさんやミズノさん、もともと矯正靴を販売していたニューバランスさんから発売されているランニングシューズは日本人の足にフィットした形状をしていることが多いです。
逆にナイキさんやアディダスさんは少し幅が狭いので、ワンサイズ大きいシューズを選んだ方がいいかもしれません。
クッション性があるか
着地時の衝撃を吸収することで、足にかかる負担を減らして長い距離を走ることができるようになります。
ナイキの厚底シューズが有名になりましたが、実はこちらのホカオネオネというメーカーのシューズが厚底シューズの元祖。
反発力はそこまで強くないので、足に優しい設計ということができます。
柔らかさ
ソールの部分が硬い構造をしていると、うまく足のアーチ機能を使うことができずに疲れてしまいます。
サポート機能とともに柔らかさを兼ね備えていることも初心者ランナーには見逃せません。
ミズノのシューズは柔らかさとサポート力を兼ね備えているので、安心して走ることができます。
まとめ
ランニングシューズもその時期によって流行りのものがあります。トップアスリートが使っているからといって、真似をしてしまうと怪我をしてしまいます。
最近、記録がどんどん塗り替えられていることで、靴のドーピングではないか、と言われることも多いですが、これらのシューズを履きこなすためにはしっかりとしたトレーニングがあってこそ。トレーニングとシューズが合わさって、はじめて素晴らしい結果となると思っています。
これから走り始めようと思っている方は、まずは走ることの楽しさを感じられるように、足に優しい靴選びをしてあげましょう。
ポイントは、
- 足のサイズに合ったもの
- クッション性
- 柔らかさを兼ね備えている
今はネットで簡単に買える時代になりましたが、できればショップにいって実際に履いてみるようにしてください。実際に履いてみて、歩くだけで靴のホールド感がわかると思います。
投稿者プロフィール
- 東京都府中市のコンディショニングサロンめんてな代表の倉持です。体のゆがみを整えて、楽に動ける体作りをサポートします。
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