ヨガやストレッチで股関節を痛めないために知っておきたい3つのポイント
「健康のために始めたヨガやストレッチなのに、なぜか股関節が痛くなってしまった…」
そんな経験はありませんか? 私自身もトレーナーとして多くの方を見てきましたが、ヨガやストレッチが原因で股関節を痛めてしまう人は意外と多いのです。
せっかく体を整えるために取り入れた習慣が、逆に不調を招いてしまったら本末転倒ですよね。あくまでも目的は健康的な毎日を過ごすこと。
本記事では、股関節が痛くなる原因やその予防方法を具体的に解説していきますので、安全にヨガやストレッチを楽しめるようにななるでしょう。「柔軟性が高い=健康」というわけではありません。そんな新しい視点を一緒に見ていきましょう。
股関節が痛くなる3つの典型的な原因
股関節痛を引き起こす背景にはいくつかの共通パターンがあります。まずは代表的な3つを知っておきましょう。
無理な可動域を求める
ヨガのポーズやストレッチでは「もっと深く」「もっと開く」と頑張りすぎてしまう方が多いです。しかし関節の可動域は人によって違うため、無理に広げようとすると股関節や膝の裏に負担がかかります。
一時期、開脚でベターっと床につけるようになる本が流行った時には、やり過ぎで股関節や太ももの裏側を痛めて来店される方も何名かいらっしゃいました。
実際には、180度開脚ができなくても健康やパフォーマンスに大きな問題はありませんし、柔軟性がありすぎると逆に関節がゆるくて別の問題が出てくることもあります。
何事も気持ちいいところで止めておくことが大切です。
左右差の影響
できれば左右のバランスがいいのが理想ではありますが、生活習慣や競技特性などの影響で左右のバランスが整っていることはかなり稀です。
体の中の内臓が左右非対称であるので、体も左右非対称になるのは当然ではあるのですが。。
その中でも特に股関節は左右の形状が生まれつき違うことがありますし、骨盤のねじれの影響を受けやすい関節でもあります。そのため、柔軟性にも左右の差や前後の差が出やすいのも事実です。
「どちらかの足だけ開きやすい」
「どちらかの足を胸に近づけた時だけ股関節がつまって痛い」
これは柔軟性に左右差や前後差が出ている証拠であり、これを動きやすい方と同じように動かそうとして痛めるケースもあります。
誤ったフォームや姿勢
ヨガのポーズやストレッチは「形」だけを真似すると危険です。正しいと思っているフォームでも実は体に負担がかかっているということもよくあります。
例えば前屈のポーズ。上半身を前方に倒す際に、股関節から折りたたんだ方が綺麗に見えますが、実はこのやり方は股関節を痛めやすいのです。体が柔らかいと思っていても腰が硬くて腰を丸められないという方も多く、結果として腰痛や股関節痛が出てくることもあります。
前屈の理想は腰から背中にかけて全体がバランスよく丸まっていること。それができない時は、股関節や肩まわりに負担がかかってきます。
また、「痛気持ちいい」と「危険な痛み」の区別がついていないこともトラブルを招く要因です。
ただ、私も無理して痛みがあるくらいやるのがちょうどいいと思っていたタイプだったので、痛いくらいやりたい気持ちもよーくわかります。少し物足りないな、くらいがちょうどいいので気持ちいい範囲で落ち着くようにしましょう。
痛みを防ぐための正しいアプローチ
股関節を守りながら柔軟性を高めるには、いくつかのポイントを意識する必要があります。
自分の可動域を知る
最初に確認してほしいのは「自分の股関節がどこまで動くのか」。鏡を使ったり、専門家にチェックしてもらうと客観的に把握できます。
無理な可動域を求めないことが最大の予防策です。痛みを感じる手前で止める勇気を持ちましょう。
ストレッチを快適にできるようになるツールもたくさん紹介されています。例えば、サンテプラスさんから発売されているフレックスクッションは、お相撲さんが土俵の俵にお尻を置いてストレッチをしている姿からヒントを得て作られた商品。
お尻を高くすることで骨盤が前に倒れやすくなり、前屈や開脚前屈も無理なくできるようになります。
他にも、開脚ストレッチャーを使えば、なかなか開かない股関節も自然に無理なく開けるようになります。特に開脚のポーズを取ろうとしてもなかなかその姿勢が取れないという方は、「ストレッチって楽なんだ」と感じられると思います。
筋力トレーニングを組み合わせる
柔軟性だけでなく、筋肉の安定性があってこそ安全に関節は動かせます。特に以下のような筋肉を意識的に鍛えると効果的です。
- 中殿筋(横向きの脚上げなど)
- 腸腰筋(レッグレイズなど)
- 内転筋(ボール挟み運動など)
これらを取り入れることで、股関節が「守られた状態」でストレッチできるようになります。
呼吸とリラックス
筋肉が強張ったまま無理に伸ばそうとすると、関節に負担が集中します。深い呼吸をしながらリラックスすることで、自然と筋肉が緩み、安全に可動域を広げられるのです。
呼吸に関してはこちらの記事が参考になります。
よくある誤解と失敗談
ここで、私が実際に出会ったケースを紹介します。
ある40代女性は「健康のためにヨガを始めたが、股関節の痛みが強くなった」と相談に来られました。話を聞くと、毎回のクラスでできるだけ深くポーズを取ろうと無理していたとのこと。結果、股関節唇と関節を繋げているところに損傷が見つかりました。
また別のケースでは、ランナーの男性が「柔軟性が足りない」と感じてストレッチを無理してやりすぎた結果、股関節を支える肉離れのような症状になり痛みを悪化させてしまった例もあります。
このように、「やればやるほど良い」という思い込みが、逆に不調を招くのです。
今日からできる安全な工夫
ここまで読んで「では具体的にどうすればいいの?」と思った方のために、初心者でも取り入れやすい工夫をまとめます。
- 痛みを感じたらすぐに中止する
- 開脚や前屈は「気持ちいい」と思える範囲にとどめる
- ストレッチ前に軽く体を温める(ウォーキングや軽い体操)
- 週2〜3回は股関節周囲の筋トレを行う
- 姿勢やフォームは必ず鏡でチェックする
これらを習慣にするだけで、股関節痛のリスクは大きく下がります。
まとめ
ヨガやストレッチは本来、心身を整える素晴らしい習慣です。しかし無理な可動域や筋力不足、誤ったフォームによって、股関節に痛みを引き起こすこともあるのです。
大切なのは「柔軟性=正義」という思い込みを手放し、自分の体に合ったアプローチをすること。筋力と柔軟性のバランスを保ちながら、安心して続けていきましょう。
私自身も過去に「やりすぎ」で痛めた経験があります。その時に気づいたのは、「無理をやめたとき、体はむしろ伸びやかに動けるようになった」ということです。
この記事が、あなたの股関節を守りながらヨガやストレッチを楽しむきっかけになれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。あなたの体と心が、今日も心地よく整いますように。
投稿者プロフィール
- 東京都府中市のコンディショニングサロンめんてな代表の倉持です。体のゆがみを整えて、楽に動ける体作りをサポートします。
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