健康のために始めるのはランニングとウォーキングのどちらがいい?
健康のために始める運動の代名詞といえば、ウォーキングかランニングのどちらかですよね。どちらも良い点や悪い点があるため、その違いを知っておくだけでも運動へのモチベーションを落とさずに続けられそうです。
果たして、どんな違いがあるのでしょうか。
ウォーキングとランニングの運動学的な違い
ウォーキングとランニングの一番大きな違いは、両足が地面から離れている時間があるかないかという点です。
ウォーキングは必ずどちらかの足が地面につき足の入れ替えのさいには両足が地面につきます。ランニングは足の入れ替えのさいに必ず両足が地面から離れて、片足で着地をするという動きを繰り返します。
これが示しているものは、体にかかる衝撃の差です。
ランニング中は、体重の3〜5倍の負荷が膝にかかっていると言われています。それを繰り返すのですから、膝に無理が生じてしまうのも無理はありません。その衝撃を支えるためにもある程度の筋力は必要になります。
また、着地のさいにかかる膝への負担は地面からの衝撃だけではありません。
もし膝周りに歪みがある場合には、ねじれのストレスもかかってしまいます。ガニ股や内股のクセがある方は膝周りのねじれが出ている可能性が大きいので要注意と考えてください。
ウォーキングとランニングのエネルギー消費量の違い
今回は簡易的なカロリー計算方法のMETs法を使って消費カロリーの計算をしていきます。METs法とは運動強度が安静時の何倍に相当するかを計数で表し、体重と運動時間から消費エネルギーを計算する方法です。諸条件によって数値は変わりますので、あくまで参考値として考えてください。
運動の種類 | 運動強度計数 |
平常時 | 1.0 |
散歩(喋りながら歩けるスピード) | 3.0 |
ウォーキング(時速5.5km) | 3.8 |
軽いランニング(時速8km) | 8.0 |
速めのランニング(時速10.8km) | 11.0 |
消費カロリーの計算方法は、体重(kg)×運動強度計数×時間(hr)です。
上記の係数を使って計算をしていくと、体重50kgの人が時速5.5kmで30分ウォーキングをした時の消費カロリーは95kcalになります。ちなみに普通の散歩だと75kcalほどです。ランニングの場合は時速8kmで200kcal、時速10.8kmだと275kcalになります。
あくまで計算上ではありますが、同じ時間を費やすと考えるとランニングの方が消費カロリーは高いですね。
ウォーキングとランニングで怪我をするリスクは?
大事なポイントはここで、何かしら運動をしているとケガをしてしまう可能性というのも否定できません。最初はゆっくりとしたペースで始めて、徐々にペースを上げていくとどこかに痛みを感じると言うのもよくあることです。
ランニングで一番多いのは、膝の痛みです。ランナー膝という用語があるくらいよく起きます。これはランニングをしている人は少なからず経験があるのではないでしょうか。
■膝の外側
■膝の内側
■膝のお皿の周り
と痛みが出る場所は膝と言っても様々ですが、それぞれに原因が考えられます。主な原因は荷重に対する筋力不足であったり、膝のねじれによるものであったりします。スピードが上がるにつれて体にかかる衝撃も増えるわけですから、これは気をつけなければいけない点です。
その点、ウォーキングではケガをするリスクは低いと言えます。
頑張りすぎて、肩に力が入って肩こりがひどくなったり、地面を蹴ろうとして足の裏が痛くなるということはあると思います。が、ランニングほど重篤なケガになる可能性は少ないです。
では、総合的に考えてウォーキングとランニングのどちらを選択する?
これは現在の体の状態、これまでの運動経験、目的などによって変わってくるので一概には言えません。
まず、これまでの運動経験がある方は膝周りや体幹の筋力もあるので、ランニングからスタートしても問題ないと思います。心肺機能を高めるためにもランニングの方が適しています。
あまり運動経験がない人の場合は、まずウォーキングで正しいフォームを習得することが先決です。背筋を伸ばし、腕を大きく動かして、しっかりと地面を踏みしめるようにして歩く。これで少しずつスピードを上げられるようになれば心肺機能も高まってきます。ここから徐々にランニングに移行していくのがいいのではないでしょうか。
ダイエットのためには歩くだけじゃ消費カロリーが少ないからと、無理して走らないようにしてください。歩くだけでも十分に効果はあります。まずは走るための土台作り。焦って短期間で頑張ってケガをするよりも、長期的に見て続けていった方が最終的には健康的な体を手に入れられますよ。
健康のために行うのですから無理は禁物です。他の人と比べても意味はありません。長期的な視点で考えて、自分の体と対話しながら進めていくようにしましょう。
どちらをやるにしても忘れてはいけない点があります。
それは、しっかりとウォーミングアップをすること。歩くだけ、走るだけだからいきなり始めてもいいじゃん!と思うかもしれません。これがケガにつながってしまいます。
関節の中には滑液と呼ばれる潤滑油のようなものが存在し、その分泌量によって関節の滑らかさが変わってきます。動き出しはギクシャクしている感じだったけど、体が温まってくると関節の動きがスムーズになるということありますよね。これはまさに滑液の分泌のおかげなのです。
滑液は体が温まり始めて、15分ほどで分泌されるようになります。ということは、ウォーミングアップで15分ほど体を温めることでようやく滑液が分泌されるのです。
年を重ねるごとに滑液の分泌量は減ってくるので、より慎重に行うようにしてください。いつまでも健康に入られるために。無理せず気長に続けていきましょう!
投稿者プロフィール
- 東京都府中市のコンディショニングサロンめんてな代表の倉持です。体のゆがみを整えて、楽に動ける体作りをサポートします。
最新の投稿
- トレーナー活動2024年8月28日今年も無事にスーパーよさこいのサポートが終了しました
- お知らせ2024年8月5日8月のオンラインワークショップ|テーマは『足』
- お知らせ2024年8月3日初の書籍「打ち込む力を引き出す!太鼓打ちのための身体の整え方」を上梓しました
- セミナー2024年6月5日今月のオンラインレッスン|テーマは呼吸 6月28日(金)20:45〜
初の著書|太鼓打ちのための身体の整え方 〜呼吸・体幹編〜
打ち込む力を引き出す!太鼓打ちのための身体の整え方
〜呼吸・体幹編〜
を電子書籍にて上梓しました。
”太鼓打ちのための”という表現になっていますが、野球やテニスといったオーバーヘッド種目、音楽をされている方など身体を使うすべての方に参考になる内容になっています。
これまで様々なチームで指導をしてきましたが、いいパフォーマンスを発揮するためには呼吸や体幹の動きを整えていくことが最優先なのではないか、という結論にたどり着きました。
いかに呼吸を整えることが大切か、体幹の動きを適切なものにするためにはどんなことが必要か、それらを一冊にまとめたものが本書籍になります。
ただストレッチやマッサージ、筋トレをしているだけでは身体を変えることはできません。
その前提としての呼吸の最適化であったり、体幹の動きの最適化をしていくことで、トレーニングの効果もさらに高まってきます。
「腰を痛めることなく動き続けたい」
「呼吸が浅いのをなんとかしたい」
「もっといいパフォーマンスをしたい」
という方におすすめの一冊です。