BTB法とSTG法 前十字靭帯の再建手術はどの方法で行う?

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こんにちは、昨日無事に退院した倉持です。

術後三日で歩行OKの許可はおりましたが、さすがに電車や街中を歩くのはこわいので膝崩れ防止用の装具をつけています。

歩けるのは、誰も人がいない平坦な場所のみ。

●ちょっとした段差
●人の流れ
●不意な動き

には全く対応できません。。

前十字靭帯の再建術は主にBTB法とSTG法が存在しますが、今回はBTB法を先生にお願いしていました。

この術式の違いによって何が変わるのか。

少し専門的な話しになってしまいますが、靭帯を切ってどうすればいいか悩まれている方の助けになれば幸いです。

BTB法とSTG法の違い

まずBTB法とSTG法についてなのですが、これは切れた靭帯の代わりになるものをどこの腱からとってくるのか、という意味です。

前十字靭帯は断裂した部分を縫合しても癒合の確率が極端に低いため、前十字靭帯そのものを縫合する手術はほとんど行われていません。

その代わりに体のどこかの腱を採取して移植するのが一般的となっています。

BTB法

BTB法はbone-patellar tendon-bone法の略で、骨つき膝蓋腱を靭帯の代わりに移植する方法のことです。

膝の下側にある膝蓋腱の一部を骨つきで採取して、ACLの角度にしたがって移植していきます。

BTB法では関節の安定性が高く、復帰が早いということがメリットとして挙げられます。

その一方、膝下の痛みが残ったり膝下の回旋に少し弱かったりすることがデメリットとして言われていました。

回旋に弱い理由として、

BTBの骨片の幅の長さに合わせた約10mm径のドリルで作成され,その断面は円形(Circular bone tunnel,CBTと 略す)となり,短冊状であるBTBは円形の骨孔内に移植されることとなる。ゆえに骨孔とBTBとの間に間隙が生じる。
(引用:膝蓋腱を用いた前十字靭帯再建術における骨孔作成の工夫)

要は骨は円形状に削っているのに、とってきた腱の先にある骨は短冊状だから、そこにはめ込んだら隙間ができてしまう

ということですね。

そのため、骨を長方形に削るrectangular bone tunnel方式が行われるようになり、回旋への強さが出てきたのです。

参考文献はこちら↓

膝蓋腱を用いた前十字靭帯再建術における骨孔作成の工夫

ただしこれを可能にするには、

●正確な位置に穴を開ける技術
●正確な形に骨を削る技術

が必要になるため、ここで医師の技量が問われることになるのです。

どれだけ症例があるか、という点で手術を受ける際には参考にしておくといいかなと思います。

STG法

八王子スポーツ整形外科さんがわかりやすい動画をアップしてくれていたので、こちらを参考にしてみてください。

STG法はSemitendinosus-Gracilis法の略で、ハムストリングスのうちの一つである半腱様腱(ST腱)と内転筋の一つである薄筋腱(G腱)を用いた方法です。

基本的には、ST腱のみなのですが長さが足りない場合があるため、その場合にはG腱も使います。

これまでは穴を一つだけ開ける一重束再建術が行われていましたが、これでは回旋に弱いため、現在は穴を二つずつ開けて回旋に強くなる二重束の再建術がメインとなっています。

ハムストリングスの筋力低下が見られることが多く、ACLの再建術後にスポーツ復帰した選手で次に起きやすい怪我がハムストリングスの肉離れだったりすることもあります。

約1〜3年ほどで回復するとは言われていますが、体に再教育をしていかないとせっかくACLが治ったのに今度は肉離れに苦しむというのは切ないことです。

どのように選択するか

ACLの再建術に関してはいろいろな論文が出ているので、一言でどの術式がいいとは言えないのが現状です。

どんな違いがあって、自分は何を求めているのか

をしっかりと理解しておくことが大切になります。

前十字靱帯再建術 手術件数3200件の実績から語る

スポーツメディシン2015年176号で紹介された内山先生の記事は参考になると思います。

BTB法のメリットとデメリット

一般的にはBTB法の方が運動開始時期が早く、約6ヶ月ほどでスポーツ復帰ができると言われています。

一方で、膝の前側に痛みが残りやすかったり、長方形に骨を削る技術などの医師の技量も多分に影響します。

膝のお皿周囲で痛みが残りやすい、ということはデメリットとして大きな影響があるようです。

アメリカでは、ジャンプ系や陸上系など瞬発的な力を必要とする競技であったり、日本の警察病院ではBTBが用いられることが多いということは聞いたことがあります。

STG法のメリットとデメリット

STG法は現在の日本では一般的な方法で、少しゆっくり目のプロトコルで約8ヶ月でのスポーツ復帰と言われています。

長い腱を四重に折りたたんで靭帯の代わりにするため十分な強度の靭帯を作りやすく、骨自体の痛みが少ない、手術のあとが小さいなどのメリットがあります。

ただし、ハムストリングスの出力低下であったり復帰時期が少し遅くなるといったデメリットも考えられます。

どちらの術式を選択するかは、病院によっても変わってきます。

ドクターの技量も大きく影響するので、病院選びは重要になってきますね。

現在でも、

●どの位置に
●どんな形で穴を開けていけばいいのか

など常に本物に近い状態を求めて研究が進められています。

もしかしたら、来年にはまた違った術式が出ているかもしれません。

そういった感度が素晴らしいのは当然ですが、ただ新しいからといって行われているのではなく、
しっかりと検証された結果行われているというのは信頼感があるかなと思います。

いろんな術式があるので、少しでも参考になれば幸いです。

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投稿者プロフィール

倉持江弥
東京都府中市のコンディショニングサロンめんてな代表の倉持です。体のゆがみを整えて、楽に動ける体作りをサポートします。

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